2021-12-24 06:12:04
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コメント(4)
おはようございます。
今日はいよいよ、クリスマス・イブですね。
今回は悪役令嬢シリーズの主役であるシェリアちゃん&エリック君のSSをお送りしたいと思います。
2人はどんなクリスマスを過ごしたのでしょうね。
ちょっと覗いてみましょう(*^^*)
⬇
わたくしが生まれてから8年が経った。
このフォルド王国にて生まれ育ち、月の聖女という大役を任されてからは2年が過ぎた。今、わたくしは8歳になっている。
対である光の神子で婚約者のエリック・フォルド王太子はそんなわたくしと同い年だ。
これは8歳の年の十二の月のある日の出来事である……。
もう冬も本格的になりつつある中、わたくしはエリック様に贈る用のハンケチーフの刺繍を一針ずつ施していた。外ではしんしんと雪が降っていた。珍しいと思いながらも刺繍に没頭する。不意にドアがノックされた。返事をするとメイドのメイアが入ってきた。両手には大きな箱が抱えられている。
「……あら。メイア、その箱はどうしたの?」
「……はあ。エリック殿下から贈り物だとかで。近衛騎士のジュリアス様がこちらまでいらっしゃいました」
「え。こんな雪の中を!?」
「はい。何でもくりすますぷれぜんとだとのお言付けです」
「そう。ちょっと中身を確認してみるから。こちらのテーブルに置いてちょうだい」
「わかりました」
メイアは心得顔で応接間のテーブルの上に置いてくれた。わたくしはすぐに箱を確認する。包装紙は鮮やかな赤でリボンは落ち着いた緑色だ。なんだろう。そう思いながらリボンを解き、包装紙を破った。蓋を開けると薄いオレンジ色のマフラーやショール、落ち着いた赤に柊の葉が刺繍されたハンケチーフ、深みのある藍色の手袋が丁寧に畳まれた状態で入れてある。下の方にはわたくしの瞳と同じ琥珀のペンダントまであった。また、1通のメッセージカードも添えてある。
<シェリアへ
メリークリスマス!
親愛なる婚約者殿へ
E>
とだけ書いてあった。Eという頭文字ですぐに婚約者のエリック様だと気づく。ちょっと驚きと嬉しさがない混ぜになる。それでも心はじんわりと暖かくなった。マフラーやショールは色こそ夏っぽいが。意外としっかりとした感じで温かそうだ。ハンケチーフもなかなかに厚みのある布地で作られている。手袋も手作り感満載でもしやエリック様の編んだものか?と思った。
ペンダントも上質な琥珀だし高級品なのは見て取れる。どれもわたくしの好きな色ばかりだ。明日は確かクリスマスだったか。お礼を言わなければと思ったのだった。
翌日、馬車で王宮に向かう。向かい側にはメイアもいる。カバンには昨夜に急いで仕上げた宿り木の刺繍が入ったハンケチーフが赤い包装紙と緑色のリボンでラッピングされて入っていた。メイアはちょっと心配そうにしている。
「……お嬢様。昨夜はあまり休まれていませんけど。大丈夫ですか?」
「……気づいていたのね。ちょっと眠いけど。大丈夫よ」
「それでも。お屋敷に戻ったらお休みになってください。顔色が悪いですから」
仕方ないので頷く。しばらくは窓の景色を眺めたのだった。
王宮に着くと馬車が停まる。扉が開き、わたくしはタラップを降りようとした。すると目の前に剣だこができた手が差し出されている。驚いて顔を上げたら。そこには美しい金の髪と深みのある藍色の瞳の婚約者が佇んでいた。
「……シェリア。今日もお妃教育を受けるんだろ。一緒に行こうか?」
「……あ。わざわざ、すみません」
「いいんだ。俺がしたくて仕方ないだけだから」
エリック様がはにかむように笑う。その表情にドキリと胸が高鳴った。やはり彼は美形だ。そう思いながらもエスコートしてもらいながら降りたのだった。
手を繋いだままでエリック様の私室に向かう。まだ、ハンケチーフを渡せていない。彼の手が2年前よりも大きくなりゴツゴツしたものに変わっていてさらに驚く。今までの大変さを思い出す。エリック様が毎日のように武芸を身につけた結果だ。そう考えたら何とも言えない気持ちになる。彼に負担をかけさせてはいけない。さらに決意を固めたのだった。
私室にたどり着くとドアが閉められた。わたくしはカバンからやっとの事でハンケチーフを取り出した。おずおずと差し出す。エリック様は少し驚いたようだが。綺麗な藍色の瞳を見開きながらもそっと受け取ってくれた。
「……これは。俺に?」
「……はい。昨日は沢山のプレゼントをありがとうございました。取り急ぎ、こんな物しか用意できませんでしたけど」
「……いや。気にしなくていいよ。むしろ、夜ふかしをしてまで作ってくれたんだろう。ありがとう」
エリック様は薄っすらと頬を赤らめながらお礼を述べる。照れ笑いといった表情でリボンを解いた。包装紙を破ると宿り木が刺繍された淡い藍色のハンケチーフが出てくる。
「へえ。良いじゃないか。わざわざ、本当にありがとう」
「お礼には及びませんわ。けど。喜んでいただけて良かったです」
「ああ。大事に使わせてもらうよ」
エリック様は丁寧に折り畳むとテーブルの上にそれを一旦置いた。わたくしに近づくと不意に顔が寄せられる。額に温かく柔らかなものが当てられた。すぐにキスをされたと気づく。頬に熱が集まるのがわかる。
「……その。ちょっとしたお礼だ。来年もクリスマスプレゼントを贈るから」
「はい。楽しみにしていますわ」
2人して赤面しながら来年の約束を交わす。外では静かに雪が降り積もっている。エリック様は笑いながらこう告げた。
「メリークリスマス!」
「……メリークリスマス」
2人でそう言葉を交わした。わたくしは彼にお返しのキスを頰にしたのだった。
――終わり――
いかがだったでしょうか。
ちょっと甘いクリスマスを2人は過ごしたようですね(*‘ω‘ *)
羨ましい。
今日はこれくらいにします。
お後がよろしいようで(_ _)
追記・メリークリスマスイブ!
後、良いクリスマスを!
こんばんは。
微笑ましくも暖かなラブストーリー。
イブの夜に確かにピッタリなSSですね(*‘ω‘ *)
8歳にして凄くリア充ではありますO_o
し、将来が心配……?
まあ、子供の頃――それはもう3歳の時からの仲ですし。
エリック君は浮気をしなさそうではありますね(遠い目)
シェリアちゃんは実はエリック君の詳しい諸々の事情は知っていまして。
他の子にちょっとプレゼントしたくらいでは目くじらは立てないかな。
まあ、エリック君が余計な虫がつかないように目を光らせまくってはいますかね。それこそ娘を持つ父親並みには。
(年の近い叔父であるラウルくんにシェリアちゃんの事を秘かに托す約束はしています。)
ゴールインしても成田離婚とかにはなりそうです。
エリック君、これはもう予想はしているかと。
ちょっとずつ、婚約解消をする準備をしているだろうなあ。
エリック君は設定上、前世が女性でして。
シェリアちゃんを自分から開放して別の奴と付き合わせようとか考えています←。
では。