2022-03-02 12:51:35
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とりあえず、今回はオリジナルストーリー(SS)でやってみます。
橘の花散里の君と光源氏の出会いのお話です。↓
わたくしの名は橘の花散里と申します。
父は大納言の職を任されていましたけど。
もう十数年前に儚くなり母も同様でした。わたくしには姉がいます。桐壺帝様に入内して世間では麗景殿女御と呼ばれていました。
わたくしも姉に付いて後宮に来ていました
。まだ、わたくしが十五か六の年だったと思います。
ある時に麗景殿のお庭にある橘の木に咲いた花を眺めていました。
そうしたら見た事もないような美しい殿方が通りかかったのです。何かにいらだっているようでした。わたくしは何事かと驚きましたが。奥へと入ろうとしました。
「……あれ。どなたかいるの?」
「……え」
「声からすると。女房かな」
殿方はそう言ってこちらへとやってきます。どうやらわたくしの方に来るようでした。慌てて奥に膝でにじり寄ります。
「……女房殿。そんなに怖がらなくてもいいよ。ちょっと話をしたいだけだから」
「……あ。わたくし」
仕方なく袖で顔を隠しながらさらに奥へ行きました。声を出すんじゃなかったと気まずくなります。ところが殿方は何を思ったのか階を上がり簀子縁まで来ました。御簾まで上げて中に強引に入ってきます。
「キャッ!」
「……女房殿。本当に怖がりなんだね。安心して。何もしないから」
わたくしは優しく言われても信用はできません。ますます怖くなり奥に逃げようと立ち上がりました。すると後ろに何かを掴まれたのかたたらを踏んでしまいます。振り返ると袖を殿方が掴んで引き留めていました。
「女房殿。せめて名前を教えてくれないか。そうしたら手を離すから」
「名乗るような者ではありません。お忘れくださいませ」
「つれないな。可愛い声をしているのに」
なかなか殿方は袖を離してくれません。
困りました。仕方ないので逃げるのは隙を見てしようと密かに決めます。
殿方はやっと袖を離してくれました。わたくしは顔を隠したままでその場に座ります。
「やっと答えてくれる気になったね。あなたは麗景殿様の女房なのかい?」
「……いえ。わたくしは麗景殿様の妹ですわ」
「あ。そうなんだ。ごめん。女房と間違えてしまった」
わたくしは袖越しに殿方を見て驚きました。間近で見たらかの光の君だったのですから。といっても自分の顔を見られるのはやはり恥ずかしいです。殿方――光の君は苦笑いしました。
「……姫。そうだな。名を教えてくれないなら。勝手にこちらで呼ばせてもらうよ。ううむ。お庭に橘が咲いていたから」
「はあ」
「橘の花散里の君はどうだろうか?」
「お好きにどうぞ。わたくしはもう行きます」
「あ。姫!」
わたくしは隙を突いて立ち上がり小走りで逃げました。息が切れましたが。奥に入り光の君が来ないのを確認します。ふうとため息をついたのでした。
あれから三日が経ちました。何でか、女房が困り顔でやってきます。
「どうしたの?」
「あの。姫様宛にお文が届いています」
「文ね。見せて」
わたくしは受け取ると文を開きました。薄い萌黄色の御料紙に橘の枝が添えられています。内容はこうでした。
<いつになく花橘の香をたどりいき
君の袖をば魂が駆けゆき
あなたの袖にわたしの魂が迷って行きそうです。>
あからさまな歌に顔が赤らみます。意味は(いつになく花橘の香りを辿っていってしまった。あなたの袖に香る花橘のせいで魂が翔り去ってしまうことよ)という感じですが。要は(私はあなたの元を離れられそうにない。気になって仕方ないよ)という風にも受け取れます。どうお返事したものやら。仕方なく女房に代筆で返事を書いてもらいました。
<君の香を花橘のものと思ひ
迷い出しと思ひもなきに>
(あなたの香りを花橘かと思ったけど。迷い出てしまう魂とは何でしょうか。その思いは無きものと同じなのでしょう?)と辛らつな感じで詠んでみました。女房に言って届けてもらったのでした。
あれから光の君から文は来ません。仕方ないと思いました。わたくしはいつもと同じようにお裁縫に打ち込んだのでした。
――完――
いかがだったでしょうか。
これくらいにします。
お後がよろしいようで(_ _)
少し目を離した途端に…
独り厠源氏こと『たっくん』がローラースケートで無双してますね。
エドモンドは後ろが弱いですからね。
当初であれば山椒のザンギエフでグルグルとすかしつつのスクリュードライバー。
あら?他人様のブログで失礼しました!
これでも一通り、キチンと読んでおりますから。